この記事の要約
部屋の隅に置かれた、右足だけチェリーピンクのリボンを通したダンス用スニーカー。完璧な仕上がりを目指すあまり作業がストップしている状態について考えます。きっちり完成した姿もいいけれど、あれこれ迷いながら進んでいる途中のいびつさも、実は私らしい等身大の魅力に繋がるのかもしれないと気付く朝の記録です。
窓辺の定位置と、片方だけのおめかし
朝5時、アラームが鳴る直前にスッと目が覚める感覚は、私の毎日のスタートを知らせる大切なスイッチです。ベッドから抜け出し、大きく背伸びをしてからカーテンを開けると、ひんやりとした朝の空気が頬を優しく撫でていきます。遠くの空はまだ薄暗く、街全体が静かな深呼吸をしているようなこの時間が、私はとても好きです。遠くで聞こえる始発電車の微かな走行音や、少し冷たいフローリングの感触。すべてが新しい一日の始まりを歓迎してくれているように思えます。

部屋の隅、いつもダンスシューズを定位置にしている小さなラックへ視線を移すと、片方だけ鮮やかなチェリーピンクの太いリボンを通した白いスニーカーが目に留まりました。数日前、SNSにアップするステップ動画をもっとポップにしようと思いつき、手芸屋さんへ駆け込んで買ってきたサテン生地のリボン。意気揚々と右足の靴紐を外し、下から順番にピンク色のリボンをキュッと編み上げていきました。でも、一番上まで結び終え、いざ左足の作業に取り掛かろうとした瞬間に手が止まってしまったのです。
「リボンが太すぎて細かいステップを踏む時に邪魔になるかな」「いっそ左右で違う色にした方が、私らしい元気な印象になるかも」「いや、むしろリボンじゃなくてビーズを縫い付ける方が可愛いかもしれない」次々と新しいアイデアが湧き上がってきてしまい、どれが一番素敵な仕上がりになるか決めきれず、そのまま作業を保留して数日が経過しています。普段の私は、思い立ったらすぐに体を動かし、勢いよく最後まで走り抜けるタイプ。それなのに、このスニーカーに関しては「もっとワクワクする形があるはず」という欲張りな気持ちが強く働き、完成を急がずに立ち止まるという珍しい現象が起きています。
完璧を求めるブレーキと、進行形の楽しさ
ラックに並んだスニーカーは、右足だけがまるでお祭りのように賑やかで、左足は箱から出した時のままの真っ白な状態。そのアンバランスな姿をじっと見つめていると、今の私の迷いや試行錯誤の様子をそのまま映し出しているようで、思わずふふっと笑いがこぼれます。いつも応援してくれているファンのみんなに、少しでも成長した姿や、とびきり可愛いパフォーマンスを届けたい。その前向きな気持ちが膨らむほど、「もっとこうすれば良くなるはず」と最高の正解を探しすぎてしまう時間が増えてきている気がします。
例えば、先週から考えている新しい振り付けの構成案。サビの部分をもっとダイナミックに見せたくて、ノートに何度もペンを走らせては消しゴムで消す作業を繰り返しています。ページの端には黒いインクの擦れ跡が残り、どうしても納得いく形にまとまらないままパタンと閉じてしまう日もあります。衣装の細かなアレンジにしても同じで、完璧な状態まで磨き上げたいと願うあまり、未完成のまま机に置かれたアイデアメモや布の切れ端がたくさん存在しています。
でも、改めてこのちぐはぐなスニーカーを眺めていると、きっちりと仕上がった完成品だけが全てではないという想いも湧いてきます。右足だけデコレーションされた姿は、確かにいびつで不格好。それでも、リボンを通しながら「みんなはどんな反応をしてくれるかな」と想像して胸を躍らせていた時の熱量が、そのチェリーピンクのサテン生地にぎゅっと詰まっています。迷って、立ち止まって、まだベストな答えを出せずにいる「途中」のエネルギーも、実はすごく魅力的で愛おしいものに思えてきました。
迷いも全部、私を形作るカラフルなピース
配信ライブの時、私はよく「今日のヘアアレンジ、最後まで迷って結局いつものポニーテールにしちゃった!」と笑いながら正直に話します。するとコメント欄には「そういう等身大なところが好き」「一緒に悩んでるみたいで楽しい」「未完成な感じが応援したくなる」という温かい言葉が次々と流れ、画面越しの距離がぐっと縮まるのを感じます。画面の向こうにいるみんなは、ただ私の言葉に頷いてくれるだけでなく、「前髪少し切った?」とか「今日の服、手作りの新作?」と、小さな変化までしっかり受け止めてくれます。

ファンのみんなは、私が完璧なアイドルとして完成された姿を見せることよりも、夢に向かって泥臭くもがき、時には失敗しながらも笑顔で進んでいく「進行形」のストーリーを愛してくれている。その事実に、いつも背中をポンと押されます。綺麗に整ったものだけを発信しようとすると、いつの間にか自分自身を型にはめてしまい、息苦しさを感じてしまうものです。
母がずっと言い聞かせてくれた「笑ってる人のところに夢は来る」という言葉通り、未完成なものや迷っている時間すらも、面白いハプニングとして笑い飛ばせるような心の余裕を持っていたいと感じます。真っ白な左足のスニーカーには、まだどんな色も乗せられる無限の可能性が残っています。焦って答えを出さず、心が一番ときめく瞬間が来るまで、この余白をたっぷり楽しむのも素敵な過ごし方です。
アシンメトリーな足元で踏み出す今日のステップ
迷いを振り切り、今日はあえてこの右足だけリボンを通したスニーカーを履いて、朝の練習をスタートさせることにしました。靴紐をギュッと結び、姿見の前に立ちます。鏡に映る足元は、やっぱり少し不思議なバランス。でも、スマホから流れるお気に入りのアップテンポな曲に合わせてステップを踏むたび、右足のチェリーピンクが力強く弾け、左足の白が軽やかにリズムを刻みます。左右の表情が違うことで、かえって動きに新しいアクセントが生まれていることに気付きました。
最初はゆっくりとしたストレッチから始め、徐々に心拍数を上げていきます。大きく腕を回し、フロアを蹴るたびにサテンのリボンがかすかに擦れる音がして、それが私だけの秘密のパーカッションのように響きます。綺麗に揃っていなくても、まだ完璧な形になっていなくても、今この瞬間にしか出せない熱量と輝きが確実に存在します。未完成のまま放置していたスニーカーが、そんな大切なことを教えてくれました。
いつか左足に最高に似合う色のリボンと出会うその日まで、私はこのアシンメトリーな足元と一緒に汗を流し続けます。完成を急がず、迷っている今の自分を丸ごと抱きしめながら。さあ、今日もとびきりの笑顔で、私らしい1カウントを刻んでいきます!
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