この記事の要約
朝4時、ファンの方へ向けた企画のために、久しぶりにプラ板でオリジナルチャームを作り始めました。油性マーカーのツンとした匂いや、トースターの中でぐにゃりと曲がりながら縮んでいく透明なプラスチック。最初は薄くて頼りなかった色が、熱を受けて小さくなることでギュッと濃く、分厚く変わっていく様子に、なんだか今の私の毎日が重なって見えた朝の出来事です。
油性マーカーの匂いと、はみ出した黄色のライン
朝4時。窓を開けると、夏の朝特有の湿った土の匂いと、まだひんやりとした風が部屋に流れ込んできます。超朝型な私にとって、この時間は一日の中で一番頭がクリアで、ワクワクするアイデアが次々と湧いてくるゴールデンタイム。ひっそりとした街全体がまだ眠りについていて、車が走る音も聞こえません。遠くの方で新聞配達のバイクの音がかすかに響くのをBGMにしながら、机に向かうのが日課になっています。

今日は、いつも応援してくれている方々へ向けた企画の準備からスタートしました。用意したのは、文房具店で買ってきた透明なプラスチックの板と、色とりどりの油性マーカー。実は昨日、SNSのやり取りの中で「昔よくプラ板作ったなー」という話題になり、ファンの方と盛り上がったのです。その瞬間、プレゼントとして手作りのオリジナルチャームを作ってみようと思い立ちました。
黄色のマーカーのキャップを外した瞬間に広がる、ツンとした独特の匂い。その瞬間、一気に小学生の夏休みに引き戻されるような感覚に包まれました。北海道の実家では、冬の間は大活躍する大きなストーブも、短い夏の間はただの台になっていました。その上で、きょうだいたちと一緒に、好きなキャラクターの絵を描いてはトースターで焼いていた記憶が鮮やかに蘇ります。雪深い町で育った私にとって、夏休みはあっという間に過ぎていく貴重な時間。その一瞬一瞬を閉じ込めるように、夢中になってプラスチックの板に向かっていました。
「笑ってる人のところに夢は来るからね」
工作が上手くいかなくて泣きべそをかいていた私に、母がよくかけてくれた言葉です。あの頃からずっと、手先を動かして何かを生み出すことが大好きでした。衣装を手作りしたり、こうして小道具を作ったりしている今の私は、根本的なところで何も変わっていないのだと実感します。
今回は、太陽とひまわりを組み合わせたオリジナルデザインに挑戦することにしました。みんなを照らす存在になりたいという思いと、みんなの笑顔が私にとっての太陽だという思いを込めて。キュッキュッと音を立てながら、ツルツル滑る表面に色を乗せていきます。これは意外と難しくて、インクが弾かれたり、色がムラになったり。勢い余って黄色のインクが黒い枠線を大きくはみ出してしまいました。ティッシュで拭き取ろうか迷いましたが、その不揃いな線も手作りならではの温かみだと考え直しました。完璧な印刷物にはない、手描きだからこそ伝わる温度があると信じて、そのまま作業を進めることにします。
オレンジ色の光と、ぐにゃりと曲がるプラスチック
色塗りが終わり、ハサミで慎重に輪郭に沿って切り抜いたら、いよいよオーブントースターの出番です。まずはアルミホイルをくしゃくしゃに丸めてから、再び平らに広げます。こうすることで表面に細かい凹凸ができ、溶けたプラスチックが張り付くのを防いでくれるのです。子どもの頃に母から教わったこの裏技を、今でもしっかり覚えている自分がおかしくなりました。カサカサと鳴る金属的な音を聞きながら、その上にそっとプラ板を乗せます。
ダイヤルを回すと、カチカチという規則正しいタイマーの音とともに、オレンジ色のヒーターがパッと明るく灯りました。ここからが、何度やっても一番緊張して、たまらなくワクワクする時間です。
熱を受けた透明な板は、数秒後にはまるで生き物のように、ぐにゃりと大きく反り返り始めます。端と端がくっついてしまいそうなほど激しく歪み、丸まっていく様子は、見ているだけでハラハラします。初めて作ったときは、この瞬間に慌てて扉を開けてしまい、中途半端に曲がったまま固まってしまったものでした。でも今は、ガラス越しにじっと我慢して見守ります。
熱の中で大きく歪み、もうダメかもしれないと思うくらい形を崩してから、やがてゆっくりと元の平らな状態に戻っていく。その過程を息を止めるようにして見つめていると、なんだか不思議と勇気が湧いてくるのです。過去のオーディションで落選して目の前が真っ暗になった日や、地方にはチャンスがないと笑われて悔しかった日。私の心も、このプラ板のようにぐにゃりと曲がってしまったことが何度もありました。でも、そこで逃げ出さずに夢への熱を持ち続けていれば、ちゃんとまた平らに、そして以前よりもずっと分厚くて強い形になれる。オレンジ色の光に照らされる自身の顔をガラス越しに見つめながら、そんなことを考えていました。
縮んで分厚くなった分だけ、不器用な線が愛おしくなる
チーンという軽快な音が部屋に響き、焼き上がりの合図を知らせてくれました。火傷しないように割り箸を使って急いで取り出し、あらかじめ用意しておいた分厚いファッション誌の間に挟みます。いつも衣装作りの参考にしている、付箋がいっぱい貼られた重たい雑誌です。上から両手でギュッと体重をかけて、数秒間ストップ。

そっとページを開くと、そこには元の四分の一ほどのサイズに縮んだ、手のひらにちょこんと乗るサイズのチャームがありました。驚くのは、その鮮やかな変化です。焼く前は薄くて頼りなかった黄色のインクが、ギュッと縮むことで驚くほど力強い色に変わっていました。はみ出してしまった不格好な線も、小さく分厚くなったことで、なんだか愛嬌のある模様のように見えてきます。
最初は薄っぺらくて頼りないものでも、熱を加えて時間をかけることで、しっかりとした存在感を持つようになる。私がいま毎日続けている発信や、毎朝の特訓も、もしかしたらこれと同じなのかもしれません。一つ一つの行動はまだ薄くて頼りなくて、時には枠をはみ出して失敗してしまうこともある。でも、そこに熱意を込めて、ぐにゃりと曲がって悩む時期を乗り越えれば、きっとギュッと濃縮された私だけの色になっていくはず。
指先で触れるとまだほんのりと温かいそのチャームが、たまらなく誇らしく思えて、何度も裏返しては光に透かして眺めてしまいました。
ギュッと濃縮された色を胸に下げて
すっかり明るくなった窓の外からは、元気な蝉の合唱が聞こえ始めています。出来上がったチャームの小さな穴に、シルバーのボールチェーンを通しました。カチャカチャと鳴る軽やかな音が、今日のスタートを祝福してくれているようです。
鏡の前に立ち、今日着る予定の、母と一緒に作った黄色い衣装を合わせてみます。その胸元に、このギュッと濃縮された色を揺らしてみると、なんだかいつもより背筋がピンと伸びるような気がしました。
完璧じゃなくても、不器用でも、熱意だけは誰にも負けない。そんな私らしさを詰め込んだお守りがあれば、どんなことにも最高の笑顔で立ち向かえそうです。夏のまぶしい日差しの中へ飛び出していく準備は、もうすっかり整っています。今日も全力で、たくさんの人に元気を届けてきます。
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