この記事の要約
朝5時のダンス練習中、いつも回している扇風機の首振りのリズムと、自分のターンのタイミングがなぜか噛み合わないという小さな違和感から始まった7月の朝。涼しい風を待つばかりにステップが小さくなっている自分に気づき、風を待つのではなく自分から風を起こすように動きを変えてみました。イレギュラーなズレが教えてくれた、いつもより大きな円を描くための前向きな気づきのお話です。
規則正しい首振りと、噛み合わない私のターン
朝5時。まだ太陽が本気を出す前の時間帯ですが、7月の空気はすでにじっとりとした熱を含んでいて、窓を開けても生ぬるい空気が入り込んでくるだけです。いつものようにフローリングの部屋でストレッチを終え、アップテンポな曲に合わせてステップを踏み始めました。でも今日はなんだか、最初の8カウントから足先が重たく感じて、いつもならスッと入れるはずの動きに微妙な引っかかりを覚えました。

原因はすぐにわかりました。部屋の隅で回している扇風機です。左右に規則正しく首を振るその動きと、私がターンをするタイミングが、今日はことごとく合わないのです。ターンをして正面を向いた瞬間、涼しい風が顔に当たるのがいつものベストな形。でも今朝は、私が前を向いた時には扇風機はすっかり壁の方を向いていて、なんだか意地悪されているような気分になります。
もう一度カウントをやり直しても、風は私の背中をかすめるだけで、欲しいタイミングで涼しさをくれません。たったそれだけのことなのに、リズムが微妙に狂ってしまい、ステップの踏み込みが浅くなっていきます。機械の一定のリズムと、私の感覚のズレ。その小さな違和感が、足元にまとわりついて離れず、どうしても動きが小さくなってしまうのを感じていました。
涼しい風を待つことへの小さな焦り
北海道の雪深い町で育った私にとって、こんなふうに朝からじわっと汗をかく感覚は、まだ少しだけ慣れない部分があります。故郷の夏はもっとカラッとしていて、朝早くなら天然のクーラーのような心地よい風が吹き込んでくるのが当たり前でした。だからこそ、今の環境で夏を乗り切るための扇風機は、私の朝練の頼もしい相棒でもあります。

それなのに、今日はその相棒と息が合いません。「どうして今日はタイミングが合わないんだろう」と、何度も扇風機の動きを気にしながら踊ってしまい、集中力が途切れていくのがわかります。ふと鏡に映った自分の顔を見ると、眉間にうっすらとシワが寄っていました。これではダメだと、一度曲を止めて深呼吸をします。
お母さんがよく言ってくれた「笑ってる人のところに夢は来る」という言葉を思い出しながら、ほっぺたを両手で軽く叩きました。風が来るのを待っているから、来なかった時にがっかりしてしまう。扇風機はただ一定のスピードで動いているだけで、私に合わせてくれないのは当然のことです。それなら、私が風に合わせるか、あるいは全く違うアプローチをすればいいだけのことでした。
ズレたカウントが教えてくれた、もっと大きな円の描き方
もう一度、曲を最初から再生します。今度は扇風機の首振りのタイミングを予測するのをやめました。風が当たったらラッキー、当たらなくても気にしない。そう決めてステップを踏み出すと、さっきまでの足の重さが嘘のように消えていきました。お母さんと一緒に選んだ通気性の良い生地で作った練習着が、私の動きに合わせて軽やかに揺れます。
そして、サビの大きなターンの瞬間。扇風機がそっぽを向いているのが視界の端に入りました。いつもならここでテンションが下がるところですが、今日は違いました。風が来ないなら、自分から風の通り道に飛び込んでいけばいい。そう思って、いつもより半歩だけ広く、大きく踏み込んでターンを回ってみたのです。
すると、遠心力でフワッと体が浮き上がるような感覚とともに、自らが起こした風が頬を撫でていきました。扇風機からの風ではなく、私が動いたことで生まれた風。大きく腕を回し、ステップの幅を広げたことで、今まで描いていたよりもずっと大きな円を空間に描けたような気がしました。曲が終わる頃には、額にはたっぷりと汗が光っていましたが、それは全力を出し切ったという心地よい証拠です。
いつも通りの完璧な環境じゃなくても、少しのズレを楽しめるようになれば、そこから新しい発見が生まれる。汗を拭いながら見上げた扇風機は、相変わらずマイペースに首を振っています。明日もまたタイミングは合わないかもしれないけれど、その時は今日よりもっと大きなステップで、自分で風を起こせばいい。そんなふうに思えた、元気いっぱいの朝練タイムでした。
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