この記事の要約
朝のライブ配信で聞かれた何気ない質問に、咄嗟に優等生な返事をしてしまった今朝。配信を終えた後の部屋で、本当に伝えたかった小さな喜びを思い出しながら、無意識に背伸びをしていたことに気づきました。いつでも全力で前を向くために、言葉にできなかった曖昧な気持ちを丁寧にほどいてみる、そんな夏の始まりの記録です。
カメラの前で選んでしまった優等生な答え
朝6時。いつものように元気いっぱいに始めた朝活配信でのこと。窓の外はまだほんのり白み始めたばかりで、ひんやりとした空気が部屋を包んでいる時間帯。早起きして見に来てくれるみんなのコメントを読むのが、わたしにとって最高に幸せな一日のスタートです。

今日の配信も、おはようの挨拶から始まって、昨夜食べたアイスの話や、新しく買ったリップの話で盛り上がっていました。そんな中、ふとタイムラインに流れてきた「最近あった一番のニュースは?」という質問。わたしは迷うことなく、満面の笑みで「新しいステップが踏めるようになったことだよ!」と答えました。
実際、昨日の練習でずっと苦戦していたターンが綺麗に決まったのは本当のこと。何回も転んで、足にアザを作りながら練習していたから、できた時の達成感はすごいものでした。コメント欄も一気に「さすが!」「朝練の成果だね!」「努力家!」と温かい言葉で溢れて、画面の向こうの笑顔が伝わってくるような素敵な空気に包まれました。
でも、カメラに向かってとびきりのピースサインを作りながら、心の奥のほうで「あれ、本当に一番伝えたかったのはこれだっけ?」という小さな違和感がチクッと胸を刺したんです。元気な声を出せば出すほど、なんだかあらかじめ用意していたセリフを読んでいるような、少しだけちぐはぐな感覚がありました。
氷の音と思い出した本当のニュース
配信終了のボタンを押すと、さっきまでの賑やかさが嘘のように、部屋の空気がすっと落ち着きます。少し熱を持ったスマートフォンを机に置き、冷蔵庫から出した冷たい麦茶を一口飲みながら、胸に残ったちぐはぐな感覚の正体を探ってみました。
グラスの中で氷がカランと鳴る音を聞きながら、ゆっくりと記憶を巻き戻します。そして思い出したのは、昨日の夕方、買い出しの帰り道に通りかかった近所の公園での出来事でした。
フェンス沿いにずらりと植えられたひまわり。まだ緑色の硬い蕾ばかりの中で、ひとつだけ、先っぽからほんの少しだけ黄色い花びらが顔を出しているのを見つけたんです。それを見た瞬間、「あ、もうすぐ夏が来る!」って、なんだか胸が弾んで、すごくわくわくしました。
毎日同じ道を歩いているのに、昨日までは気づかなかった小さな変化。誰かに褒められるようなすごいことじゃないけれど、心が一番大きく揺れた瞬間は、間違いなくあの夕暮れの公園にありました。わたしにとっての最近の本当のビッグニュースは、ダンスのステップよりも、その小さな黄色のほうだったんです。
無意識の背伸びと、かっこつけちゃったわたし
じゃあ、どうしてあの時、ひまわりの話をパッと言えなかったんだろう。考えれば考えるほど、えへへ、なんだかちょっと恥ずかしくなります。

きっとわたしは、「夢に向かってひたむきに頑張るアイドル」としての正解を、無意識のうちに探してしまったんだと思います。応援してくれるみんなに、常に成長している姿を見せなきゃいけない。前向きでキラキラした結果を報告しなきゃいけない。そんな風に、わたし自身で勝手にハードルを上げて、肩に力が入っていたみたいです。
もちろん、ダンスが上達したことも嘘じゃないし、みんなが喜んでくれたのは心の底から嬉しい出来事でした。でも、かっこいいわたしを見せようとして、日常のささやかな感動を後回しにしてしまったことが、なんだか少しだけもったいない気がしたんです。
お母さんがいつも言ってくれた「笑ってる人のところに夢は来る」という言葉。わたしはずっとそれを信じて全力で走っているけれど、笑顔の理由は、もっとささいで、もっと個人的なことでも良いはずなんですよね。かっこつけない、素顔のままの喜びだって、きっとみんなは受け止めてくれるはずだから。
飾らない言葉で見つける、明日の余白
太陽みたいに明るく笑うためには、大きな目標に向かって走るエネルギーと同じくらい、道端の蕾に立ち止まるような心の余白も必要なはず。
ずっと背伸びをしたままじゃ、いつか足が痛くなっちゃうし、息も切れてしまいます。だから、うまく言葉にできなかったり、アイドルとしての「正解」からはちょっとズレているかもしれない小さな感情も、これからは大切にすくい上げて、言葉に乗せてみようと思います。
明日の朝の配信では、「実は昨日、言いそびれちゃったんだけどね」って、あの黄色い花びらの話をしてみよう。みんなはどんな反応をするかな。「りんちゃん、そんなことで喜んでたの?」って笑われるかもしれないけれど、きっとその笑いは、すごく温かいもののはず。
そんなことを想像していたら、なんだか急に明日が来るのが楽しみになりました。窓の外を見ると、夏の始まりを告げるような眩しい朝日が差し込んでいます。さあ、深呼吸して、今日もわたしらしい一日を始めようと思います。
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