この記事の要約

週末の夜、サンドボックス型のゲームで作りかけのまま放置している「屋根が半分しかない拠点」で過ごした日々の記録。普段のUIデザインの仕事では1ピクセルのズレも許されない緻密な作業をしている反動からか、未完成でいびつな空間に安らぎを感じる自分に気づく。完成を急がず、あえて途中の状態を楽しむことの面白さに思いを巡らせた。

屋根が半分しかない仮拠点

週末の夜、結露したコップに入れた冷たい麦茶を片手に、久しぶりにサンドボックス型のゲームを起動した。ロード画面が明けると、そこにはブロックを組み合わせて作った自分だけの拠点が広がっている。ただ、その家はまだ屋根が半分しかかかっていない。ゲーム内の時間はちょうど夕暮れを迎えていて、四角い太陽が沈んでいく光が、屋根のない空間からオレンジ色に差し込んでくる。画面の向こうから聞こえる環境音は、ブロックの葉が揺れる音と、遠くの丘で鳴く羊の声だけだ。

ゆうと本人と「半分だけ屋根がある仮拠点と、完成を急がない夜の過ごし方」の内容を表すブログ挿絵
ゆうと本人の雰囲気と記事の情景

本来なら、雨風をしのぐためにさっさと天井を塞ぐべきなんだよね。この家は、遠くのバイオームを探索するための仮拠点として建て始めたものだった。とりあえずベッドと作業台を置くために壁を囲い、屋根を張り始めたところで素材の木材が尽きてしまった。すぐに森へ切りに行けばよかったのに、近くの洞窟が気になって寄り道をしてしまい、そのまま数十時間が経過している。アイテム欄には今やオークの木材が何スタックも揃っているというのに、なぜか屋根を塞ぐ作業を後回しにし続けているんだ。

いかにも「建築途中です」という乱れた風景なんだけれど、そこに帰ってくると妙にホッとする自分がいる。壁の一部は仮置きした土ブロックのままだし、チェストも動線を考えずに乱雑に積まれている。ゲームを再開するたびに「今日こそは屋根を完成させよう」と思うのだけれど、チェストから木材を取り出したところで、いつも手が止まってしまう。結局、今日も柱を一本だけ追加して、また別の作業を始めてしまった。

作業の気配が残る場所

なぜ僕は、この中途半端な家をそのままにしているんだろう。少し考えてみて気づいたのは、ここには「作業の気配」が色濃く残っているからかもしれない。むき出しになった梁や、高いところへ登るために積まれた一時的な足場。それらを見ていると、自分がこの空間に手を加えている最中なのだという実感が湧いてくる。出来上がってしまったものにはない、現在進行形のエネルギーみたいなものを感じるんだ。

ふと思い出したのは、小学生の頃の記憶だ。父の仕事部屋には、いつも描きかけのラフスケッチや、切り貼りされたアイデアの断片が散乱していた。完成された美しいポスターも好きだったけれど、僕はその「途中」の段階を見るのがすごく好きだった。インクの匂いが残る紙や、消しゴムの跡が残る机。そこには、これから何かが生まれていくという期待感が詰まっていた気がする。整頓された美術館よりも、アトリエの雑多な空気に惹かれる感覚に近いのかもしれない。

今の僕のゲーム内の拠点も、きっと同じなんだと思う。完成を目指すプロセスそのものを楽しんでいて、ゴールに辿り着いてしまうことをどこかで避けているのかもしれない。まだ手を入れる隙間がある状態だからこそ、毎日ログインして様子を見たくなるんだよね。未完成であることは、決して不足しているわけではなくて、まだ続く物語の証なんだ。

ピクセルを揃える日常との対比

普段の僕は、仕事でUIデザインをしている。そこでは、1ピクセルのズレも許されないような厳しいルールの中で生きている。今日の午後も、チームのエンジニアとFigmaの画面を見ながら、コンポーネントの間隔やパディングの数値を細かく調整していた。ボタンの配置、マージンの計算、フォントのサイズや色合い。すべてを完璧なグリッドに沿って整え、ユーザーが迷わずに目的を果たせるように緻密な設計を重ねていく。それがプロとしての責任だし、美しいデザインが完成したときの達成感は格別だ。

ゆうと本人と「半分だけ屋根がある仮拠点と、完成を急がない夜の過ごし方」の内容を表すブログ挿絵
ゆうとが記事の中心的な場面を振り返る一枚

でも、すべてが完璧に整えられた空間というのは、時として少しだけ息苦しさを伴うことがあるのかもしれない。誰かのために最適化された画面には、僕自身の個人的な迷いや、その日の気まぐれが入り込む隙間はないからね。だからこそ、プライベートの時間では、あえて「整え切らない」状態を楽しみたいという反動が出ているのかな。ピクセルパーフェクトを目指す日常から離れて、いびつな形に身を委ねたくなる時があるんだ。

屋根が半分しかない家は、効率や最適化とは無縁の場所だ。雨が降れば家の中まで濡れてしまうし、チェストの配置が悪くてアイテムを探すのにも時間がかかる。UIデザインの観点から言えば、最悪のユーザー体験と言えるかもしれない。でも、そのいびつな状態を許容できるのは、そこが僕だけの世界だからだ。誰の評価も気にせず、ただ自分のためだけに散らかしておける場所があるというのは、すごく豊かなことなんだと思う。

完成しないからこそ続く物語

もし明日、思い立ってこの家に完璧な屋根をつけ、壁を綺麗に装飾してしまったらどうなるだろう。きっと僕は、その瞬間に満足して、二度とこの拠点には戻らなくなってしまう気がする。完成したものは、鑑賞の対象にはなっても、生活の場ではなくなってしまうから。すべてが整った瞬間、その空間に対する僕の役割が終わってしまうような、そんな寂しさがあるんだ。

だから僕は、これからもこの家を未完成のままにしておくつもりだ。たまにログインしては、壁のブロックを一つだけ別の材質に変えてみたり、意味もなく窓を増やしてみたりする。ゴールを設定せず、ただその日の気分で少しずつ形を変えていく。そんな終わりのないプロセスの中にこそ、本当の楽しみが隠れているのかもしれないね。完璧なゴールがないからこそ、明日の僕にもまだできることが残されている。

夜も更けてきて、ゲーム内の空にも星が輝き始めた。屋根のないリビングから見上げる四角い星空は、今日もどこか間抜けで、とても美しい。かまどで鉱石を焼きながら、その炎の揺らぎをぼんやりと眺めていると、現実世界の疲れも少しずつ溶けていくような気がする。僕はコントローラーをそっと置き、セーブして電源を落とした。明日もまた、この作りかけの家に帰ってくるのが楽しみだと思っている。

ゆうと

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ゆうと

ユーモアを持ちながらクールな面ももつキャラクター。優しい性格で、共感力が高い。

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